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年長児です。一つずつの指示なら問題はないのですが、複数の指示を一度に与えるととたんに混乱してしまうみたいです。記憶力が悪いのでしょうか?

分数や小数がうまく理解できないようなのですが?

繰り下がりの計算がうまくできない。

《位置をしっかりとらえる》課題とはどういうものを指すのですか?
またそれはどんな意味をもっているのでしょうか?


年長児です。一つずつの指示なら問題はないのですが、複数の指示を一度に与えるととたんに混乱してしまうみたいです。記憶力が悪いのでしょうか?

一度に与える指示は、小さい子の場合、多くても3つまでです。

記憶に関しては、情報を“入力する力”は反復によって強化されると思いますが問題はむしろ“出力する力”つまり思い出す力の方のように思います。
この思い出す力の弱さは、情報の整理整頓がうまくいっていないことが大きな原因であり、この情報の整理整頓がうまくいかない原因が“図形的な位置の弱さ”とどうやら関連があるように思われます。
“図形的な位置の弱さ”とはどのようなこと指すかといえば、例えば左右がはっきりしていない。鏡文字が多い。本を読む場合、文字を目で追えず行をよく飛ばす。等です。
これを不注意だからと片付け、「注意しなさい」を連呼するよりは、位置が弱い、一対一の対応がうまくいかないのが原因のようなら、左右をしっかりわからす。靴を脱ぐときは、必ず脱いだ靴をそろえる。本やおもちゃを出して遊んだ後はなるだけ自分で元の場所にもどさせる等を心がけてあげてみてはどうでしょうか。また、体験的に、この位置の弱い子には左利きの子が多く、左利きあるいは両利きの子にはなにか同じ共通の傾向があるように思えてなりません。その事については稿を改めます。

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分数や小数がうまく理解できないようなのですが?

図形を扱うのは得意ですか?
今までイメージをわかして考えるという経験が乏しくはありませんか?
女の子でこのあたりでつまづく子にはこの“イメージ化の弱さ”が多く見受けられます。

それまでは教えられた問題を解く手順をしっかりと覚え、間違いなく反復することでキープしてきた算数の成績、文章題だって分からなければ当てはめ計算で済ましてきた、点数や順位だけを気にしてきた(多分に保護者の責任かも知れませんが)つまり本当の意味での思考トレーニングをして来てなかったことの結果が突きつけられたとも言えるのかもしれません。
分数、小数をいきなり“1”より小さい数だと教えると子どもはうまく理解できないかもしれませんね。普通、子供たちにとって1は最小の数ですから、1より小さい数となるとイメージがしづらい。子供は目にみえないものは考えづらいですし、まして小さい子に分数を理屈で理解させるのは無理ですから、分数の計算も丸暗記となってしまいます。そうなれば特に算数の苦手な子供たちにとっては分数の計算は無意味な反復となりますから、当然意欲もわかないでしょうし、計算の手続きも記憶には残りにくいでしょう。
上記のことは逆に分数を目に見える形、割合としての側面から入ると理解もしやすいようです。また日常の会話の中でも機会があれば分数の表現を使うこともいいようです。

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繰り下がりの計算がうまくできない。

主な原因は2つ考えられます。

《その1》計算する時、まだ指を使って数えてはいませんか?

繰り下がりをうまく理解するためには、例えば32は10が3個と1が2個であるというような、位を理解した数のとらえ方をしていることが望ましいのですが、数えて数を処理していると、この“かたまりとして数をとらえる”という見方が育ちにくいのです。数えてばかりの子は、例えば“4”といっても“1”が4つあるにすぎず、「4が2つ集まった数は?」とか「4の半分は?」という問いにうまく対応できないはず、「4が2つ集まった数は?」→「6(4+2=6)」という答えが出るはずです。

《その2》左右があやふやだったりはしませんか?

こういった子供たちは位置をしっかりとらえるのが苦手な子が多く、32−18=26?という間違い(十の位の3と1の違いの2、一の位の2と8の違い6を並べて書いて26)といったような間違いを平気でするはずです。これに、漢字を筆順通り書かない(写真を焼き付けるように漢字をおぼえようとする)とかが加わっていると、1対1の対応をしっかりやることができない→手続きを確実に追っていくことが苦手という、前出のその1とはほぼ逆の原因が考えられます。こういった子の場合、生活習慣の中でもできる範囲でいいですから1対1の対応を行う習慣、例えば靴を揃えるであるとか、本やおもちゃを元あった場所に戻すとかを考えて良いと思います。筆算の場合、位をそろえてちゃんと書くということも対処療法としては効果的でしょう。

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《位置をしっかりとらえる》課題とはどういうものを指すのですか?
またそれはどんな意味をもっているのでしょうか?

課題としては、極めて簡単に言えば、子どもたちから少し離れたところに見本となる模様を掲示し、それと同じ模様を作ってもらいます。
ねらいは1対1の対応をしっかりとやること。
この課題に関して基本的な情報をまとめると
1.幼児の場合、平均して男の子より女の子のほうが出来が良い。
2.左利きの子の中にこの課題を苦手とする子が多い。
3.どうやら情報を整理整頓する能力に関連があるようだ。
以上があげられるかと思います。

この課題を苦手とする子の特徴としては

  1. 記憶の課題が苦手。
    覚えるのが苦手というより、思い出すのが苦手。
    複数の事柄を同時に覚える時に特にこの弱点が出てきます。
    これも情報の整理整頓が苦手ということです。
  2. 本を読む力が弱い。
    これは単純に目の使い方が下手。
    本の文章を目で追って読む時も平気で行や単語を飛ばすので文意がとりにくく何が書いてあるかが分かりにくい。すると、本を読むことが面白くなく興味を失いがちで読書から遠ざかりやすく活字に親しむ機会が少なくなる。従って読解力が育たない。
  3. 順番に積み上げていく考えに弱い、同じく、 手順をちゃんと追って行くのが苦手。
    1対1の対応が苦手ですから、それに関連すること、整理整頓をする、数える(数詞を暗唱するだけではなく実際にものがいくつあるかを数える)、筆算を正確にする、筆順どおり漢字を書いて覚える、それらのことが苦手。
    ものを考える上で言えば、どこまで考えたかがすぐ分からなくなる。後戻りが出来ない。
    だから、学校ではケアレスミスが多いと指摘されるでしょう。

まとめますと、3つ以上の複数の情報を並行処理して一つの結論を出すような課題、つまり論理的に考えるのがうまくいかなかったり、答えが出るまでにステップが多い課題を嫌がったりとかの弱点が出るようです。
ここで、左利きの子どもたちは上記の位置をしっかり見る力が弱いと子が多いと書いて来ましたが、これは利き手を左から右に変えたから直るというものではなく、ものを見るときある決まった点(定点)を基準に見れば位置もつかみやすいわけですが、左利きの子の場合それが右だったり左だったり、どうもその場その場でばらばらのようです。
もちろん左利きの方にも理数的に優秀な方はたくさん(右利きよりも多いというデータもあるようですが)いらっしゃるわけで、左利きの子の上記のような混乱は10歳くらいまでのものであると思います。ただ、そういった混乱のために自信を失いやすいですから、左利きの子は特に心の面でのケアをしてあげないといけないと感じています。


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